資本提携とは?業務提携との違いは?具体例を用いて徹底解説!

「資本提携って何?」
「業務提携とはどう違うの?」

M&Aについて調べていて、資本提携についてお悩みの方はいらっしゃいませんか?

よく似た言葉に業務提携もあり、ややこしいですよね。

しかし実はこの2つは全く異なる概念であるため、しっかりと差異を理解しておく必要があるんです。

そこで今回は、資本提携について、意義から具体的な手続きまで基礎から徹底的に解説しています。

この記事を読めば、資本提携に関する基礎知識が身につきますよ!

1.資本提携とは?

資本提携とは、複数の企業がそれぞれの株式を持ち合うことによって、協力関係を強化することをいいます。

通常M&Aといえば企業間の合併や買収のことを指しますが、この資本提携も広義のM&Aの一種ということができます。

通常、資本提携とは相互の株式持ち合いを意味しますが、片方の企業がもう一方の企業の株式を取得する場合もあり、これを特に「資本参加」と呼んでいます。

資本提携は、買収(発行済み株式の過半数を取得)や、拒否権確保(同3分の1位条の取得)までは至らない程度の出資比率で行われることが一般的です。

出資比率は契約によって様々ですが、おおよそ3~10%程度の株式取得を目指すケースが多いようです。

なお、資本提携・業務提携・資本業務提携のいずれも、会社法等に特別の規定があるわけではなく、それぞれ個別の委託契約や株式売買契約を締結することが一般的です。

2.資本提携のメリットとデメリット

ここまでは資本提携の意義について簡単に紹介してきました。

それでは、資本提携によってどのような効果がもたらされるのでしょうか?

以下からは、資本提携のもつメリットとデメリットについて、それぞれ簡単に説明していきます。

(1)メリット

資本提携のメリットは、株式を通じた資本持ち合いによって親密な企業間関係の構築ができる点にあります。

企業間の関係性が強化されることにより、仕入れや販売などの場面において他社よりも有利な条件での取引が可能となったり、共同開発・販売といった業務提携もスムーズに行うことができます。

また、完全に資本が合一となる合併などと比べると、資本提携の場合には提携の解消をすることも容易です。

そのため、提携後に事業がうまくいかなくなったり、市場の変化等によって提携のメリットが薄れてきた場合には、提携を解除することによってリスクの回避を行うことができます。

対外的なメリットとして、出資先のネームバリューを獲得することによって企業の信頼性が増し、従来はできなかった取引等を行うことができる場合もあります。

このように、資本提携は当事企業間内部にとどまらず、外部に対する関係においてもメリットをもたらすことができます。

(2)デメリット

資本提携による企業間の強固な結びつきが、かえってデメリットとなる場合もあります。

たとえ議決権・拒否権の行使に至らない割合での株式の譲渡であったとしても、やはり経営に対する外部からの介入があることは防ぐことができません。

例えば役員解任の訴えなど、会社法では議決権の3%を保有する少数株主にも与えられる権利もあります。

したがって、資本提携によって柔軟かつスピード感の意思決定を行うことが難しくなる場合もあります。

また、資本提携の方法として第三者割当増資を行った場合、予期せぬ資本提携解消の申し入れ(株式買取請求)を受ける可能性があるため、資本の依存度が高い場合には注意が必要です。

3.業務提携との違い

資本提携とよく似た言葉に、業務提携があります。

業務提携とは、特定の分野・業務に限定して、複数の企業が業務上の協力関係を築くことをいいます。

相互の企業が経営的独立性を保ったまま協力し合うという点で、資本提携や合併などのM&Aとは異なります。

提携の仕方は契約によって様々であり、技術開発・資材調達・物流・人材交流などの態様があります。

例えば生産提携を行った場合、需要過多な委託側としては自社でまかないきれない注文の生産を行うことができる一方、受託側も生産設備稼働率を向上させられるなどのメリットがあります。

このように、業務提携では提携を通じて企業間のもつ強みが組み合わさり、M&Aのもつシナジー効果にも似た効用をもたらします(オープンイノベーション)。

一方、業務提携は資本提携による株式の移動が行われないため、継続性の保証や財政的な支援がありません。

そのため、独立性・柔軟性と各社のブランドを保ったまま連携することが可能ですが、その反面、のちに述べる資本業務提携などと比べるとどうしても弱い提携となってしまいます。

4.資本業務提携もある

資本提携と業務提携を同時に実施することを、資本業務提携といいます。

資本業務提携では、上に述べた資本提携と業務提携のもつメリットを同時に享受することができます。

すなわち、資本提携によって資本を共有できるとともに、各社はそれぞれの有する技術資源や生産資源を分かち合うことができます。

そうすることで、ゼロから事業を育てるよりも低リスクで、かつスピード感をもって新規議場参入や経営多角化を行うことが可能になります。

このように、資本業務提携は資本提携や業務提携では得られない強固な企業間関係を構築することができる一方、その関係がかえってデメリットとなってしまうおそれもあります。

一度資本業務提携が結ばれると提携の解消は非常に困難であり、特に両者の間で合弁会社等が設立されていた場合には、この会社の精算といった時間的・金銭的コストがかかります。

そのため、各社が独立性と柔軟性を保ったまま提携を行いたい場合には、資本業務提携は向いていないといえるでしょう。

5.資本提携の手法

上にも述べたように、資本提携は会社法等の法律に特別の定めがあるわけではなく、具体的な手続きが法定されているわけではありません。

資本提携を行うための手段として、主に用いられるのは①株式譲渡による方法と、②第三者割当増資による方法です。

以下からは、それぞれの具体的な手続きについて紹介します。

(1)株式譲渡

株式譲渡とは、会社または個人の保有する株式を対象企業等に譲渡(売買)することによって、株主としての地位を移転させることをいいます。

基本的な流れとしては、売り手と買い手の間で株式譲渡契約を締結し、この契約に従って譲渡代金の支払いが行われると同時に、売り手が株式を交付します。

取締役会設置会社であれば株主総会の開催・決議が不要であり、迅速な手続きを行うことが可能です。

一方、日本の中小企業は株式の譲渡に制限をかけている場合が多く、その場合は手続きが少し複雑になります。

(2)第三者割当増資

第三者割当増資とは、会社が特定の第三者に対して募集株式を割り当て、これを取得させることによって株主としての地位を付与することをいいます。

こちらも取締役会設置会社であれば株主総会の開催・決議が不要であり、短期間で資本の提携を行うことが可能となります。

しかし、第三者割当増資は株式譲渡とは異なり新規株式を発行するため、発行済株式数が増加することで1株当たりの価値が相対的に下落する効果をもたらします(株式の希薄化)。

そのため、既存株主からの反発を招きやすいというデメリットがあります。

6.資本提携の注意点2つ

資本提携には多くのメリットがあると同時に、企業に致命的なダメージを与えるリスクも抱えています。

そのため、資本提携を実施する場合には、以下の2つの点に注意して行うようにしましょう。

(1)出資比率に注意する

資本提携を行うにあたっては、出資比率に注意しなければなりません。

上に述べたように、株式を譲渡(または割当)するということは、相手方の企業等に対して一定数の議決権を与えることに他なりません。

企業としての独立性を確保したい場合にはなるべく少ない比率に収めるべきですが、少なすぎると資本提携を行う意義まで失われてしまいます。

そのため、自社の独立性の確保をどこまで妥協できるのか、また、資本提携を行う目的を達成するためにはどれほどの出資比率が望ましいのかについてしっかりと考慮する必要があります。

さらに、資本提携を行うに際して第三者割当増資をする場合には、相手方からの株式買取請求に耐えうる範囲内での割当を行う必要があります。

(2)専門家に依頼する

資本提携を行う際には、専門家の知見を取り入れるようにしましょう。

通常、企業間の関係構築において資本提携だけが行われるケースはあまり見受けられず、その後資本業務提携に移行したり、合併のための試金石として行われるケースがほとんどです。

そのため、資本提携のプロセス自体は自力で行うことが可能であったとしても、全体を俯瞰できるプロの目線を取り入れる必要があります。

専門家に依頼する際には、法務や会計といった個別のプロフェッショナルだけではなく、M&A業務全般にアドバイスできる専門家を探すことをおすすめします。

7.資本提携の具体例3つ

ここまでは、資本提携の意義や業務提携との違いなどについて説明しました。

以下からは、実際に資本提携が行われた例を3つ紹介します。

これらの具体例を通じ、資本提携の目的や、当事者にもたらすメリットについて確認しましょう。

また、資本提携を解消した例も紹介していますので、解消の理由についてもみていきましょう。

(1)トヨタとスズキの資本提携

2019年8月28日、トヨタ自動車とスズキの資本提携が発表されました。

資本提携の目的は「トヨタが持つ強みである電動化技術とスズキが持つ強みである小型車技術を持ち寄り、商品補完を進めることに加え、商品の共同開発や生産領域での協業等に取り組むため」であるとされています。

この資本提携協定により、トヨタはスズキに960億円を出資してスズキ株の4.94%を取得し、スズキはトヨタに480億円を出資してトヨタ株の0.2%を取得することになります。

両社は2017年にすでに包括的業務提携を発表しており、今回の資本提携をもってさらに強固な提携関係を構築を試みたものと考えられます。

(2)丸亀製麺と米国ファンドの資本提携

2019年9月16日、丸亀製麺などを運営するトリドールホールディングスは、運営する米国の子会社と米国ファンドである「Hargett Hunter Premier BrandsFund I,LP」(以下、PBF)から出資を受け入れることを発表しました。

PBFの親会社は米国の投資会社「Hargett Hunter Premier BrandsFund I,LP」であり、同社はM&A、投資、外食産業に対する豊富な経験を有しています。

丸亀製麺は現在8店舗を米国で展開していますが、資本提携を通じ、資本的地盤と固めるとともにPBFの知見を取り入れることで、全米展開への足掛かりを作ったものと考えられます。

(3)ヤフーとブックオフの資本提携解消

ブックオフとヤフーは2014年4月に資本業務提携を締結しました。

ブックオフのもつ強みは書籍やCD等の商品力や、業界トップクラスのリユース業務における業務オペレーションの構築力・運営力です。

一方、ヤフーのもつ強みはその会員基盤と、サイトの集客力、ヤフオク!などのコンテンツ力です。

これら両社のもつ強みが資本業務提携によって組み合わさることにより、商品量、価格、品質、サービスなどあらゆる面で他のリユース業界に対して優位性をもたせることを目的としていました。

そして実際、ブックオフはヤフオク!における中核事業者となり、全国800店舗が持つ商品を全国へ販売するなどし、ヤフオク!上におけるストア別出品数ではブックオフが1位を獲得するまでに至りました。

しかし2018年11月、両社の資本提携の解消が発表されています。

その理由としては、経営環境の変化等に応じてそれぞれが独立の成長戦略を柔軟に推進するためとしています。

なお、資本提携を解消したのちも業務提携契約は継続することとしており、取引関係などを含めた友好関係は今後も継続すると発表しています。

8.まとめ

今回は資本提携について、業務提携との違いなども踏まえた基本的知識を紹介しました。

資本提携は企業の資本や業種に関係なく行われるM&Aの一種であり、その後に他のM&Aへと移行するステップとして行われることもあります。

自社を成長させたい、拡大していきたいと考えている方は、資本提携も考慮に入れてみてはいかがでしょうか。

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