2020年版!PEファンド一覧 業界マップで解説

日本でPEファンドが投資を始めて約20年、PEファンドが関係する日本企業への投資額もリーマンショックで一時減少しましたが、徐々に「ハゲタカ」のイメージも払拭され、世界的な低金利環境の影響もあり2017年頃から機関投資家のPEファンドへの投資も倍増し、2019年にはPEファンドが関係した日本企業への投資も急増し新しいフェーズに入っています。そのような環境下で2020年起こった新型コロナ禍。2020年6月現在でも未だ予断を許さない状況ではありますが、いくつかのファンドの今後の投資方針に関する発言も少しずつ報道されるようになってきました。
そこで、今後も日本でアクティブに投資を行っていくであろうPEファンドについて一覧形式と業界マップで解説します!

1.2020年版 日本でアクティブなPEファンド一覧

近年日本での投資が多い会社、ファンドレイズをした会社、またバイアウトチームを日本に設立した会社など近年日本のPEファンド界で比較的重要な案件に携わってきた会社、今後積極的に投資を計画している会社について、Fundpressが独自の形で調査し一覧形式でまとめました。(詳細は各ファンドのファンド情報のページでご確認いただけます。)

2020年版 日本でアクティブなPEファンド一覧
アドバンテッジパートナーズ

  1.  特徴
    日本で最も古いPEファンドの1つ。中堅企業の事業継承をメインにカーブアウト案件などに共同出資も含めると100件以上の実績があります。
  2. 近年の投資先企業
    カジコーポレーション、ワールド、富士通インターコネクトテクノロジーズ
  3. その他2020年4月4号ファンドを850憶円で募集完了しました。今後5年で5~10件の投資を行う予定。グループ会社アドバンテッジアドバイザーズの成長支援ファンドにNTTドコモ、DBJなども出資しました。
アポロ・グローバル・マネジメント

  1. 特徴
    1990年設立、米国ニューヨークを拠点とするオルタナティブ投資ファンド。 NYSE(APO)に上場企業しています。プライベートエクイティ投資だけでなくクレジット投資の割合が大きいことが特徴です。プライベートエクイティ投資ではバイアウト特に破綻企業への投資で有名となりました。
  2. 近年の投資先企業
    ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー、GE東芝シリコーン
  3. その他
    2019年末日本バイアウトチームのトップが決まり、日本への投資を本格化させる予定です。
インテグラル

  1.  特徴
    日本独立系投資ファンド。日本型PEとして多くの成長支援、事業継承案件の実績があり、プリンシパル投資も同時に行い長期支援を行うケースもあります。
  2.  近年の投資先企業
    豆蔵、サンデン・リールシステム、T-Garden
  3. その他
    スカイマークなど大型案件の実績もあり、今後も大企業案件にも意欲的です。
カーライル

  1.  特徴
    米国の3大投資ファンドの1つ。NASDAQ (CG)に上場し、ワシントンDCを拠点としています。かつて米国では防衛関連やガバメントサービスにも投資していました。日本特化ファンドを設立しており、日本国内での事業継承案件の実績も多く、他の外資系PEと差別化を図ってきました。
  2. 近年の投資先企業
    株式会社おやつカンパニー、三生医薬株式会社、アルヒ株式会社(旧SBIモーゲージ株式会社)、日立機材株式会社、ウィングアーク1st、ソラスト、オリオンビール株式会社
  3. その他
    日本バイアウト投資向け4号ファンドで2580億円を調達し、カーブアウト案件と事業承継案件に投資予定です。1000億を越える案件の場合はカーライルの米国欧州アジアのほかのファンドを活用して対応する予定です。
KKR

  1.  特徴
    米国の3大投資ファンドの1つ。NYSE(KKR)に上場しています。オルタナティブ投資ファンドですが、2019年末のIR資料を見るとプライベートエクイティ投資の割合が6割を超えており、主力の事業となっています。
  2. 近年の投資先企業
    マレリ(旧:カルソニックカンセイ)、工機ホールディングス、日立国際電気、PHCホールディングス(旧:パナソニックヘルスケア)
  3. その他
    新型コロナウィルスの影響による経済危機を重要なタイミングととらえKKRは既に資金を集め世界各国で積極的に投資をしています。これまで日本でもカーブアウト案件で実績を積んできましたが、今後も大型案件を視野に投資を進めると思われます。
CITIC Capital Partners

  1. 特徴
    香港拠点のCITIC CAPITAL HOLDINGSのオルタナティブ投資及びアドバイザリー会社。中国、日本、米国に拠点を持ち、中国最大のコングロマリットCITIC GROPUの財産を活用して価値創造を行います。2004年には日本バイアウトファンドを設立し、以来中堅企業中心に10件以上の投資を行ってきました。事業の中国市場での強力なサポートに強みを発揮しています。
  2. 近年の投資先企業
    アモイ・フード、MARK STYLER、丸喜産業、モリテックス、日本オイルポンプ
  3. その他
    2019年に280億ドルの中国バイアウトファンドを設立しており、2020年後半には日本むけバイアウトファンドを設立予定です。
ジャフコ(ジャフコグループ株式会社へ商号変更予定)

  1. 特徴
    1973年創業、日本で初めて投資事業組合を組織したベンチャーキャピタルです。ベンチャー投資、バイアウト投資によりにより、起業家を共同経営者として支援します。日本、アジア、アメリカで投資を行っています。
  2. 近年の投資先企業
    LayerX、モジュラス、カラクリ、UUUM、Chatwork、ココナラ、クオンタムバイオシステムズ、ビズリーチ、マネーフォワード、インフォメティス
  3. その他
    ジャフコはバイアウト投資以外にもこれまでベンチャー投資も数多く実施してきており、多数のIPO実績があります。
ブラックストーン グループ ジャパン

  1. 特徴
    米国の3大投資ファンドの1つ。2007年の東京オフィス開設以来日本では不動産投資に力をいれてきましたが、2018年日本のバイアウトチームが組成され、日本市場のに投資を開始しました。
  2. 近年の投資先企業
    あゆみ製薬
  3. その他
    2020年1月には日本の賃貸マンションに3000憶円投資を行い不動産投資も積極的に行っていますが、あゆみ製薬の買収にて日本でのバイアウトの第1号案件を1000億超の規模で成立させましました。新型コロナウィルスの影響が今後出てくる場面も予測されますが、コングロマリットのカーブアウト案件に今後も投資をしていくと思われます。
ベインキャピタル

  1. 特徴
    米国ボストンに本社を置くプライベートエクイティファンド。2006年に日本オフィスを開設し、カーブアウトや非公開化案件に力を入れています。
  2. 近年の投資先企業
    東芝メモリ、ワークスアプリケーション子会社、アサツーディ・ケイ
  3. その他
    豪航空会社ヴァージョンへの支援も決定したベインですが、日本でも昭和飛行工業のTOBを2020年1月、ニチイ学館のTOBを2020年5月に発表し、積極的に投資を行っています。新型コロナウィルスへの感染対策が比較的効果を上げており、またこの機会に経営を見直す企業も増えると見込み、日本の事業継承案件、カーブアウト案件への投資に意欲を表しています。
ポラリス

  1. 特徴
    2004年設立の独立系プライベートエクイティファンド。日本の金融機関との連携を強みに、中堅企業の事業継承、カーブアウト案件にバランスよく投資を行い多くの実績をあげています。
  2. 近年の投資先企業
    ワークスアプリケーション、富士通コネクテッドテクノロジーズ、オーネット、総合メディカルホールディングス、BAKE、ノバレーゼ
  3. その他
    2019年に1500億円規模を目標に5号ファンドを組織し、地方中堅企業の事業継承案件、カーブアウト案件に投資をしていく方針です。
MBKパートナーズ

  1.  特徴
    東京、ソウル、香港、上海を拠点に活動する独立系プライベートエクイティファンド。北アジアをターゲットに投資行っています。小売り消費材、通信メディア、金融、の3つをコアセクターとしています。
  2. 近年の投資先企業
    弥生、田崎真珠、ユニバーサルスタジオジャパン、インボイス、コメダ珈琲店、オリックス・ゴルフ・マネジメント
  3. その他
    ゴディバで1000億規模の案件を成立させたMBKパートナーズですが、2020年5月に5号ファンドを65億ドルで募集完了し、アジアファンドとしては3番目の規模のファンドレイズとなりました。新型コロナウィルスの影響も軽微にとどまったそうです。また2020年後半にはspecial situations fund(SSF)を設立する予定です。
ユニゾン

  1. 特徴
    1998年創業の独立系プライベートエクイティファンド。日本と韓国のファンドを持ち、両国への投資を行っています。成長支援案件を中心に、日本で有数の投資実績を誇っています。
  2. 近年の投資先企業
    共和薬品工業、CHCPホスピタルパートナーズ、シダックス、ピュール、CHCPファーマシー
  3. その他
    ヘルスケア分野への投資を近年多く手掛けてきたユニゾンは、CHCPを通じて新型コロナウィルスの影響を受けた中小病院への支援を表明しています。2019年にはヘルスケア分野についてグロービス・キャピタル・パートナーズとの提携を開始しており、ベンチャーテクノロジーとのシナジー効果が期待されます。

 

2.2020年版 PEファンド ポジショニングマップ

近年政府によるコーポレートガバナンスの強化により、主力事業への注力を余儀なくされる企業が増えると見込まれておりカーブアウト案件が多くなると予測されるため、米国ファンドが積極的に日本PE市場に参入していました。新型コロナウィルスの影響で今後投資資金が減少する場面が来ると思われますが、中期的にはさらに日本企業は事業の効率化を図り主力事業に注力せざるを得なくなるためカーブアウト案件が増加すると考えられます。また事業継承に悩む中堅企業のPEファンドへの需要も大きいと思われます。そこでこれまでの各社のカーブアウト案件、事業継承案件への実績やこれまでの報道などの情報をまとめ、各社のポジションをマッピングしました!

 

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