株式会社マーキュリアインベストメント 小山取締役インタビュー

株式会社日本政策投資銀行が中心となり設立されたPE投資の運用会社

Q. 会社の概要・創業の経緯を教えてください。

当社は、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)がPE投資の運用会社として、投資顧問会社のあすかアセットマネジメント株式会社さんと一緒に2005年に設立した会社です。
民事再生法が施工された2000年から2004年頃までは、不良債権処理やリストラ、破綻等の事業再生案件が沢山ありました。事業再生案件が落ち着きを見せる中、DBJして次は長投資をやっていこうと作られた会社です。その後、DBJとも連携しながら伊藤忠商事様や三井住友信託銀行様と資本業務提携し、東証で上場して現在に至ります。

 

Q. 事業内容を教えてください。

大きくは、資産投資と事業投資の二つを行っております。資産投資で一番大きい事業は「Spring REIT」という、香港の上場リートの管理です。それ以外にも、不動産や航空機リース、再生可能エネルギーでインフラファンドをやってます。
事業投資は、事業承継をターゲットにしたプライアウトファンドやグロースなど、多岐に渡る投資をやっています。

 

Q. 企業理念を教えてください。

Cross Border という企業コンセプトを掲げています。DNAが政策投資銀行にあるので、企業の成長を強力にサポートしていきたいという思いがあります。日本国内だけではなくて、海外での成長も後押ししたいですね。

 

Q. 御社の強みや特色を教えてください。

1つは、海外での事業展開をご支援できるというところだと思います。メンバーが海外投資経験を持っている点と、アジアでの地場パートナーがいて、投資先の企業価値の向上できるというところが、他のファンドとの大きな違いですね。シンクス様や泉精器様、ぺんてる様にはこの点を理由に選んでいただけました。
もう1つは、弊社が一番力を入れているバイアウトファンドです。今、事業投資で運営しているファンドが、マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合です。
あとは、DBJが株主にいるというところですね。政府系が筆頭株主なところを良く思ってくださるオーナーさんもいらっしゃいます。

 

Q. DBJや提携先からの紹介が多いのでしょうか?

DBJや伊藤忠さんからの紹介もあります。三井住友信託さんは紹介していただく場合と、取引されている会社さんに一緒にご提案に行ったりして共同で案件化する場合があります。案件的には仲介会社さんからのご紹介や、弊社マネジメントの個人的なネットワークからのものが一番多いですね。
オープンビットよりは、オーナーさんに「こことやりたい」と選んでいただくケースの方が相対的には多いですかね。

 

Q. オープンビットも数は少なくてもされているのですね。

今現在は、少なくとも4件投資しています。2件はSPA契約で、そのうちの1社は、日本海洋掘削という会社更生の案件で、スポンサー契約にサイニングしています。オープンビットで取りに行った案件は、年間1件あるかないかぐらいという感じですが、我々の良さを理解してもらって、クローズドにやることを目指しています。

国内外での豊富な投資実績

Q. 投資実績を教えてください。

グロースファンドの投資実績だと、枠にとらわれず一から作っていきました。アメリカのゴードン・ブラザーズという会社が日本に来るときに合弁でやった際は、在庫評価やABL等の新しい事業形態を日本に呼んできたりしました。
また、2012年に上場したライフネット生命はセットアップするところから作りました。前身のネットライフ企画という会社を弊社のファンドで立ち上げ、そこから色々な株主の方をお呼びしたりしましたね。
EASTDAWN という位置情報を扱う
中国の事業にも投資しました。2006年頃の中国にはあまり地図がなかったのですが、災害時にはすごくニーズがあったんです。そこで、日本で地図をつくる下請けをやってた中国人の方と一緒に、中国でプライマリーで事業を立ち上げました。
このような経験により日本だけでなく中国でのネットワークを築くことができ、投資の実績が広がったと思います。

 

Q. 投資後はどのようにサポートされていますか?

ファンドさんによっては、役員や常駐のオペレーティングパートナー、インテグレートパートナー等を派遣されていますが、弊社にはそのような専門職はいません。ですから、これまで一緒に仕事してきた方と協力しながら投資後にアドバリューしていくというスタイルを取っています。最初の半年間ぐらいは経営企画や社長室のような形で一緒に組織づくりをやっていき、最終的には我々がいなくなったあともやれるような組織づくりをしています。

強力なスポンサーネットワーク

Q. 外部の方とは、会社単位で契約されているのでしょうか?

多くのエージェントさんとお付き合いしていますし、直接繋がっているプロ経営者の方もいらっしゃいます。まずは我々のネットワーク内で探し、エージェントさんも活用するということですね。

 

Q.そういう方は、基本的にその業界に精通したマーケティングの方や技術に詳しい方でしょうか? 

シンクスの副社長である営業本部長の方がそうですね。彼は、弊社の投資先だった旭ファイバーグラス株式会社で営業をされていました。シンクスは創業者がいなくなった後、営業の強化が必要になったため、彼に入ってもらいました。このように、我々と一緒に仕事をしたいという方とのコネクトを生かしています。

事業会社とPE会社それぞれのメリット・デメリット

Q. 事業会社のメリット・デメリットを教えてください。

デメリットは、親会社のガバナンスが厳しすぎるとフレキシビリティ無くなってしまう可能性があることや、投資後のPMIをやれる人材がいないとシナジーやM&A効果を十分に出せない点です。
メリットは、事業会社さんであれば長期的に一緒にやっていける点と、シナジーがあれば成長に直結していくというところだと思います。

 

Q. では、PE会社のメリット・デメリットは?

デメリットは、何年かしたらどこかにまた売却する必要があるところだと思います。
メリットは、会社の成長のために必要な施策を柔軟に導入して企業価値向上を図ることができることや、人材について誰がベストで、どういう風にしていけばいいかを考えて、相対的に良い方を探せるという点ですね。あと、「事業会社には売却したくない」と仰る創業者もいるので、そういう場合にPEファンドが選ばれることもあります。

海外で戦える企業に投資していきたい

Q. 投資先企業の選び方を教えてください。

「海外でさらに伸びていく可能性があるか」という点が、投資する際に注目する部分です。弊社はファンドの中では製造業をかなり好んでやっているかもしれないですね。製造業は日本の強みの1つでもあるし、海外でも十分に戦っていける技術や製品を持ってらっしゃる中堅企業さんがまだまだいっぱいあります。

 

Q.それは、他のファンドさんに比べて御社の場合、製造業の技術力を見抜く目や支援のノウハウに強みがあるということでしょうか? 

製造業の特色などの理解度は他のファンドさんよりはあるかもしれません。中堅中小の製造業で特に伸びるファクターがあるのは、5Sも含めて工場の生産性が十分ではない点です。我々は何社も製造業をやってきているので、そういうのに長けてる人材のネットワークを持っている点も特色かもしれないですね。
特に中堅中小だと、完全自動化していく流れというよりは技能実習生も含めて手で作っているところも多いので、改善余地がものすごくあるんですよ。なので、製造業の支援実績が多いところが1つの特色かもしれないですね。

 

Q. 平均して、生産性はどのぐらい上がるものなのでしょうか?

10パーセントぐらい改善したケースもありますね。シンクスでは今、標準化のプロジェクトをやっているのですが、一番効いてくるのは1個製品つくる当たりの労働部分ですね。標準化製品にできたことにより見込み生産も可能になり、受注を待つ無駄な時間が無くなり効率化された部分もあります。

最近の投資実績やこれから投資していきたい業界

Q. 最近の投資実績や投資を積極的に行いたい企業・業界について教えてください。

最近の投資実績としては、今は日本海洋掘削さんと、もう少しすると公表できるのが1社あります。
積極的に投資していきたい企業としては、外から色々な人が参入してきても勝ち残っていけて、海外でも戦える会社ですね。逆に、去年たくさんあった外食の案件はあまり積極的にやらなくていいかなと思っています。数が多すぎて競争力が持ちにくい、スケールしにくい業界は避けたい。ただ、海外に展開できる余地というのも無い訳じゃないので、バランスを見ながら考えていくと思います。

 

Q. これまでの飲食系への投資実績は?

寿司屋さんやラーメン屋さんなど検討はしてきましたが、行列ができるラーメン屋さんがあっても、多店舗展開していくと行列もできなくなってしまうので、なかなか難しい。でも、日本の製造業も「もうだめなんじゃないか」とか言われていますが、すごい技術や製品を持っていて世界と戦えるところは沢山あると思うんです。食品もそうだと思うので、投資は実績としては無いですが力を入れてやりたいなと思っています。

 

Q. 2006年頃は金融系、保険系への投資が多いですね。

”日本にこれまで無かったタイプ、日本でこれから伸びるもの”というテーマで考えたら、まさに金融業界だったという感じです。
ほけんの窓口の場合は、保険の勧誘方法がコンプライアンスの関係で厳しくなり、「これからは誰に相談したらいいんだろう?」という世の中の流れの中で伸びていくんじゃないかという仮説で投資しました。
もう1つは、デジタルトランスフォームすることによって伸びる余地がある業界ですね。建設、不動産、物流ってまだまだ古い業界で非効率なところもいっぱいあるのですが、技術がある会社と結びつけることにより伸びる余地があると思うんです。

 

Q.製造業への投資の際も、現場へ行って「どのぐらい改善できそうか」等を検討されるのですか? 

そうですね。投資検討の段階で専門家の方にも入ってもらって、どこまで改善できるかを推定して、将来のキャッシュフローを考えます。仮説を持って投資検討をし、投資した後に一緒に業務改善をしていきます。

他社に負けない自信がある、愚直に成長を支援するチーム

Q. 貴社から投資を受けるメリットは何でしょうか?

成長支援や企業価値ために汗をかくというところは、他のファンドさんに負けないくらいやっている自信があります。ファンドさんによっては、株式価値、企業価値の毀損に繋がるためキャッシュアウトを伴う投資を渋る場合もあるのですが、弊社は必要であれば投資しますね。
もう1つは人事評価制度です。できるだけフェアで、皆さんがやりがいを持って仕事できるような人事評価制度を構築することにも、力を入れてやっています。「会社をどうやって良くしていくか」というところを愚直に支援しています。

 

Q. 人事評価なども外部の専門家にお願いされるのですか?

フリーランスの方も含め外部の専門家の方にアドバイスをいただきながら、投資先の企業の人員も交えて一緒に考えて作り、投資先の方々を「ファンドやらされた」という気持ちにさせないようにするというのは心掛けていますね。

 

Q. 最後に、投資企業様へのメッセージをお願いします。

我々は本当に愚直に汗をかいて、成長を支援していくチームなんです。投資先をよりよくして、働いている皆さんに幸せになっていただくことを一緒に目指して頑張っています。

 

一緒に頑張ってくれるチームは本当に心強いですね。小山様、お本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

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