会社の経営を最適化する正しい節税対策とは?NG対策も紹介

「決算を控えており、今からでもできる節税対策が知りたい」
「節税で少しでも無駄な支出を減らしたい」

そうお考えではないでしょうか。

節税対策はうまく取り入れることができれば、数十万円単位で節税することができるため、高い関心があるかと思います。

ただし、節税対策は一概にどの方法が効果的と言える訳ではなく、その会社の状況によって取るべき最善の選択肢は変わります。

適切でない節税対策を行なってしまうと、会社の財政を圧迫しかねません。

この記事では、法人が意識するべき節税対策とは何か、効果的な節税対策にはどんなものがあるか、逆に行うべきでない節税対策にはどんなものがあるか、詳しく解説します。

1.法人が意識するべき節税対策とは

節税対策はできることが非常にたくさんありますが、そのためには会社の利益や状態を正しく把握することが大切です。

例えば、節税対策の一つとして控除があります。

税額控除とは対象になる金額が税率の対象から差し引くことです。

また会社の資本金の額によって利用できる節税対策など、利用に条件があるものもあります。

会社の状況によって最適な節税対策は変わるため、一概にどの方法が効果的と断定できる訳ではないことには注意しましょう。

2.効果的な節税対策

節税対策と一言で言っても、大まかに2種類に分けられます。

  • 永久的に税金を減らせる節税対策
  • 将来への繰り延べ

永久的に収める税金の額を減らせる節税の場合には、その節税対策が翌年以降に影響することはありません。

しかし、将来への繰り延べになる場合、その年の納税額を減らせますが、来年度以降の納税額に影響を与えます。

そのため、節税対策として行なっているものがどちらに該当するものなのか、把握した上で節税対策をすることが大切です。

ではそれぞれの節税対策の内容を次で解説します。

(1)永続的に納税額を減らせる節税対策

永続的に納税額を減らせる節税対策では、翌年への税金の影響がないことから、積極的に取り組むべき節税対策です。

具体的には以下のものがこの節税対策に該当します。

  • 役員給与を定額にする
  • 役員賞与を経費にする
  • 消耗品の購入
  • 出張旅費規定
  • 回収できない売掛債権を経費にする
  • 税額控除の適用
  • 不要な資産の売却
  • 飲食交際費の経費計上(中小企業のみ)
  • 資産の評価損を計上する

次で詳しく解説します。

#1:役員給与を定額にする

役員給与を定額にすると永続的に節税効果が得られます。

役員報酬は通常経費として計上できないのですが、定額で支払う場合のみ経費として計上できます。

利益が出ても、役員の給与を増やすなどの対処をすると経費にできなくなるため、注意が必要ですが、節税効果が高く、おすすめの節税方法です。

給料を変更する場合は、決算修理後の株主総会や取締役会を通じてのみ行われ、期中には変更できません。

#2:役員賞与を経費にする

役員賞与は時期と金額を事前に税務署に申告することで、経費として計上できます。

この場合以下のいずれか早い日までに申告を行わなければいけません。

  • 株主総会など決議があった日から1ヶ月
  • その会計期間が開始してから4ヶ月

日にちや金額が提出したものから少しでもずれてしまうと、経費として計上できないため注意してください。

#3:消耗品の購入

会社で使う消耗品を経費として計上することも節税効果があります。

減価償却資産の特例を利用することで、減価償却しなければいけない資産も300万円まで全額経費として計上できます。

ただし、節税だからと必要ではないものを購入すると、節税にはなっても会社の財政には悪影響を与えるため注意してください。

経費を計上するときにはそれが本当に必要なものかどうか、よく検討してからにしましょう。

#4:出張旅費規定

出張が多い会社の場合に節税効果が高いのが出張旅費規程を作ることです。

出張旅費規程でその出張に対して、日当を支給するという規程を設けることで、出張の際にかかる費用を経費として計上できます。

出張旅費規程で指定された日当があまりに高額な場合には税務署に拒否されてしまいますが、1日2万円くらいまでであれば、まず問題ありません。

#5:回収できない売掛債権を経費にする

商品やサービスを提供したにも関わらず、その代金が回収できなかった場合、その売掛債権は経費として計上できます。

#6:不要な資産の売却

不要な資産は売却することで節税効果が期待できます。

不要な資産に残存簿価がある場合には、売却することで、売却損を経費として計上できます。

また設備などであれば、メンテナンスにかかる費用の削減にもなるでしょう。

#7:飲食交際費の経費計上

飲食店で打ち合わせなどを行なった場合に、経費として計上できる場合があります。

経費として計上する場合には、一人当たりの金額が5,000円以内になっていることが条件のため、注意してください。

またこの経費は、誰といったのか明記する必要があるため、きちんと記載しましょう。

ただし、この経費の計上は、資本金1億を超える企業の場合には適用できません。

#8:資産の評価損を計上する

会社が保有している資産の価値が著しく下がっている場合、評価損を経費として計上できる場合があります。

例えば、上場している株式の株が50%以上下落している場合、一定の条件を満たしていれば、売却せずに経費として計上できます。

(2)将来への繰り延べ

節税対策の中には、将来的には納税するため差し引きゼロになるものの、その年の納税額を抑えられるものがあります。

具体的にあげられるものは以下の通りです。

  • 生命保険や小規模企業共済
  • 未払金や費用を経費計上する
  • 減価償却資産の特例を利用する

次で詳しく見ていきましょう。

#1:生命保険や小規模企業共済

生命保険は、繰り延べできる経費の代表とも言えるものです。

生命保険の支払いは、その一部を経費として計上できるため、節税効果が期待できます。

また小規模企業共済とは、中小企業の役員や個人事業主などが利用できる共済制度です。

掛け金を所得から全額控除でき、最大で84万円まで控除可能です。

ただし、満期や解約などで保険金を受け取った場合には、収益になり課税対象となることには注意しましょう。

しかし、税金の納税を大きく後ろにずらせるため、利用されることが多い節税方法です。

#2:未払金や未払費用を経費計上する

未払金や未払費用を経費として計上することもできます。

例えば、サービスや商品を受け取っているが支払いが翌期になる場合、逆に支払いはすでに終わっているが、商品やサービスの提供がまだの場合がこれに該当します。

#3:減価償却資産の特例を利用する

減価償却資産の特例を利用することで節税を行えます。

減価償却資産とは、商品や材料ではない10万円を超える資産のことです。

商品を作るために必要な機械などがこれに該当します。

この資産は通常全額を経費にできず、毎月一定額ずつしか経費として計上できません。

しかし、この特例を適用させることで30万円以下の資産であれば、年間300万円まで全額を経費として計上できます。

この特例は資本金または出資金が1億以下の法人でしか適用できない点には注意してください。

ただし、減価償却される経費は一定期間かかるものの最終的には全て経費として計上できるため、長期的に見たときには特例を利用しない場合と節税効果は変わりません。

3.節税対策でもおすすめできないもの

節税対策として実施するのがおすすめできないものもあります。

節税にはなるものの会社の経費を使ってしまうなどで会社の財政を圧迫してしまうもの、あるいは税務署から拒絶され、追加徴税の対象、または脱税と見なされるものがこれに該当します。

具体的には以下の例が挙げられます。

  • 必要以上に経費を使う
  • 自覚がない脱税

次で詳しく解説します。

(1)必要以上に経費を使う

節税対策の中でも必要以上に経費を使うのはおすすめできません。

消耗品などを購入することは経費として計上することで、節税にはなります。

ただしそれが本当に必要なものではない場合には、出費がかさむことで会社にあるお金がなくなってしまい、将来的な事業展開などが困難になるケースもあります。

(2)自覚がない脱税

脱税とは納税を違法な手段で逃れることを言います。

「何を当たり前のことを」と感じるかもしれませんが、節税対策として実行していたものが実は脱税だった、なんてことは少なくありません。

税務署からチェックされ脱税が発覚すると、追加徴税が課せられ、高い税率で納税しなければいけなくなります。

こうした脱税を回避したいのであれば、税理士に相談するなどの対策をして間違いのない節税対策を行うことが大切です。

4.資本金の額で納税に影響する

節税対策をする上で考えておきたいのが、資本金の金額です。

資本金の額はその額が一定未満であると、納税に影響を与えます。

大まかに以下のラインで考えるとよいでしょう。

  • 資本金1000万未満
  • 資本金3000万未満
  • 資本金1億未満

では次で詳しく解説します。

(1)資本金1000万未満

資本金が1000万未満の場合、会社を設立してから2年間の間消費税が免除されます。

またそれに加えて法人住民税の均等割の納税額が減るため、納税額に影響を与えます。

法人住民税の均等割とは、赤字か黒字かどうかに関わらず納めなければならない法人税のことです。

地方自治体によって税額が変わるため、一概にどのくらいとは言えませんが、税金コストを抑えるためには無視できません。

(2)資本金3000万未満

資本金が3000万未満の場合、特定中小企業者等に区分され、中小企業投資促進税制の税額控除が受けられます。

この控除では、機械や事務機器、ソフトウェアなどの購入(またはリース)の額の7%が控除の対象になります。

ただし、対象になる商品によって一定額以上の金額である必要があるため、この控除を適用させる場合には、あらかじめ確認しておきましょう。

(3)資本金1億未満

資本金1億円未満にすると、総額減価償却資産の特例の適用や、欠損金の全額繰越控除が適用できます。

また軽減税率を適用できることもポイントです。

軽減税率を利用することで通常であれば法人税率は23.2%の税率が課されていますが、年間800万以下の所得に対して15%の税率で計算されます。

5.まとめ

この記事では、法人が意識するべき節税対策とは何か、効果的な節税対策にはどんなものがあるか、逆に行うべきでない節税対策にはどんなものがあるか、詳しく解説しました。

節税対策と一言で言っても、その対策は非常に数が多く、最適なものも会社の状況によって異なります。

いずれにせよ、効果的な節税対策をするためには、会社の利益や経費を正しく把握し、その状況に合わせた節税対策を行うことが大切です。

この記事を参考に適切な節税対策ができているかどうか、見直してみてはいかがでしょうか。

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